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コーチ カーター

今日もブログにお越しくださってありがとうございます。

今週の月曜日は大雪が降り、気温は零下5度だったNYだが、今日は半袖で歩けるほど穏やかな気候だった。寒暖の差が激しいのは困る、と文句を言ったものの、やっぱり暖かい気候のなか外を歩くのは気分が良い。

今日は大学院時代の友人と久しぶりに会う。Hell's Kitchen (映画Sleepersの舞台になったNYの一角。昔は非常に危険な地域だった。過去10年開発が進んで今ではすっかりお洒落なエリアに様変わり)に行くのも久しぶりだった。暖かい気候に釣られ、買ったきりクローゼットで眠っていたミニのワンピースにブーツを履いて出かけた。私の年でこういう格好をしても全く平気でいられるのもこの街の良さだろうなと思う。日本なら誰かに指導を頂きそうだ。
会った友人はとても勤勉で常に計画を立てて生きているタイプで私とは正反対。思いつきで生きている私には学ぶところの多い人。タイプAの彼女も最近はのんびりと生きるのも良いな、と思い始めているそうだけれど。


家に戻って借りたままにしていたDVDを観ることにした。2005年に出来たサミュエル・ジャクソン主演の『コーチ カーター』。こういうスポーツものはまず観ないのだけれど、昔診ていた少年Aが大好きな映画でいつか見ようと思っていた。

4年前の映画なのでストーリーを既にご存知の方もいられるだろうけど、概略を。1999年にあった実話を元にした映画。カリフォルニアのリッチモンドという裕福ではないエリアの高校にカーターがバスケット部の建て直しにコーチとして赴任していくところから映画は始まる。荒廃した高校の生徒達は言葉もマナーも悪く心も荒廃している。カーターはまず言葉遣い、態度から改めさせる。「勝者のように振舞え。そうすれば勝者になれる」と。これは引き寄せの法則だ。コーチに就いたときカーターは子供達と契約を交わした。「成績は平均2.3を取ること」「すべての授業に出席し、最前列に座ること」「試合ではネクタイと上着着用」などの条項が記された契約書にサインを求め、「私についてくれば、勝利の喜びを教えよう」と約束する。スパルタな彼の指導のもと、チームはめきめき力をつけ試合に勝ち続ける。けれどチームの学業成績は散々。チーム全員の成績が上がるまでバスケットの練習禁止として、体育館に鍵をかけてしまう。図書館で教員の手を借りながら子供達の学習指導にあたるけれど、学校側、父兄、地域住民からは厳しく批判されるカーター。それでも彼は信念を曲げない。バスケットだけできても、結局刑務所に行くような人生が待っているだけと。大学に行って、貧困層の人生のレールを変える必要性を得々と説く彼。子供達はコーチを信じ成績を上げ、チームの数人が奨学金で大学へと進学し、ちゃんと学位を取って卒業する、というところで映画は幕を閉じる。

アメリカの事情を良く知らない方にはありきたりの話のように思えるかもしれない。けれど、まさにこういう子供達と働いていた私は感動してずっと泣きながら見ていた。こういう良い指導をしてくれる存在が人生のわずかの期間でもいると子供たちの人生は大きく変わるんだよなあ、と。自分の可能性を信じてくれ、あきらめないで指導してくれる人。秩序のない家庭環境で育った子供達には秩序がもたらす果実を教えてくれる人が必要だ。そして自分にも仲間にも敬意を示すことを何より大切とする。汚い言葉や無礼な言葉を使わせない。言霊のことも知っているカーター。

映画に出てくるクルーズ少年は私の診ていた少年Aを思い起こさせる。少年Aもヒスパニック系で私のいた病棟に来たときはすごく荒れていた。でも、治療が進むにつれこちらを信用してくれ、彼の繊細な部分をシェアしてくれるようになった。その少年Aがあるとき自分の日記を私に見せてくれた。この映画の中のクルーズ少年が映画の最後の方に言う台詞を書き写していたのをシェアしてくれた。
以下その台詞。

Our deepest fear is not that we are inadequate.
Our deepest fear is that we are powerful beyond measure.
It is our light, not darkness that most frightens us.
Your playing small does not serve the world.
There is nothing enlightened about shrinking so that other people won't feel insecure around you.
We were all meant to shine as children do.
It's not just in some of us, it is in everyone.
As we let our own light shine, we unconsciously give other people permission to do the same.
As we are liberate from our own fear, our presence automatically liberate others.



その頃はこの台詞にどれほどのスピリチュアルなメッセージが込められているか良く分かっていなかった私だが、でもすごく心に響いて残っていた。
少年Aはその当時まだ13歳だった。頭が良くて感受性の強い彼。今頃はきっと周囲を照らす光となっていることだろう。




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by sakurasikibu | 2009-03-07 23:41 | 映画