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ユング『赤の書』を学ぶ

今日もブログにお越しくださって本当にありがとうございます。

今日は仕事の後に、5回シリーズで行われるユングの『赤の書』の講義の第一回目を受けてきました。第一部が五回の講義、そのあと第二部が5回あるので、計10回になりますね。この『赤の書』が一般に公開されたときの模様はこちらの記事をご覧くださいませ。

この講義のことは随分前に情報として受け取っていたのですが、ある誤解のため、受講する気にはなっていませんでした。どの世界にも派閥というのはあって、小さな中でも更なる派閥というのがあるのがこの人間の作る世界ですが、それは精神医療においても同じです。NYにあるユング派の研究機関にも確執があって、その機関は二分されました。古い機関からは良い先生が流出し、新しい機関はまだ混沌としている、とオーリーから聞かされていました。私がこの講義の情報を受け取ったのは別の人物からだったのですが、古い機関で行われる講義だと思い込んで登録する気にならなかったのです。

ところが、昨日オーリーから実はこの講義はこの2つの研究機関とは別の独自の教育機関で行われると知りました。分析家を養成する機関ではなく、教育を目的にしているところだそうで。で、この講義の講師はオーリーが長いことスーパービジョンでお世話になっている心理学者で、この彼ほど博識な人は他に知らない、とまで絶賛していたんですね。とにかく素晴らしい先生だから、と。

なんと講義の前日に、誤解が溶け、Red Bookについて勉強したい!と思っていた私は大急ぎで登録しました。このクラスも当初予定より圧倒的に登録希望者が多く、教室を拡大したんだそうです。今日登録者名簿を見たら、私の名前が最後につけたしてあったので、ギリ子健在!と自画自賛しておりました。

クラスメートたちを見て、私は当初かなり違和感を感じました。多分、私が一番若手だったと思います。50代~60代がほとんどで、中には70代に見える方もいました。加えて、ほとんどの人がこの教育機関のメンバーで度々顔を合わせているようで、みんな挨拶しまくっているんですよ。マイノリティーもこのNYCにありながら、アジア人は私ただ一人。そしてあと一人黒人の女性がいただけ。ユング派がこんなに白人で占められているとはちょっと想像していなかったですね。年齢層が高いのは分かります。心理学にもトレンドがあるんですよ。まず精神分析という分野がもう人気がない。一昔前まではロジャースに代表されるようなヒューマニスティック・アプローチが主流。現在はなんと言っても、認知行動療法ですね。短期で効果が出ますから。その持続性については、疑問の声も出ていますが、この忙しい現代では即効性のあるものを人は好むのでしょうね。この認知行動療法に代わるアプローチも段々出てきました。精神性(スピリチュアリティ)を取り入れたものも。でも、研究としてはまだまだ未熟と言ったところがあります。

講義のはじめは違和感もあったのですが、すぐにそれはなくなりました。先生はポーランドなまりを話す方で図体はでかいのに、そのなまりのせいでなんだか可愛く思えてきます。風貌はペインターと言った感じ。スタジオから出てきたばかり、っていう気取りのなさを感じました。私は気合の入っているタイプの人より、こういう肩の力の抜けたタイプの方が好みなので、なんだか安心します。

初回の今日はどうして、ユングが赤の書を書くに至ったのかを時代背景と共に教えていただきました。やはりフロイトとの決別が彼には本当に大きな出来事だったのでしょうね。加えて第一次世界大戦も始まっていくヨーロッパ全体が不安定な時代だったのですよね。

私はユングの事については表面的な知識しか持ち合わせていなかったのですが、クラスメートは既に研究をしている人たちなので、知識の量にかなり差があって一緒に勉強するのはちょっと大変な気もしますが、自分のペースで学んでいこうと思います。

そしてこの講義を受けることは今の自分に大変必要だな、と今日参加して思いました。今、私が色いろと抱えている疑問をこの本、そしてユングについて詳しく学ぶことで随分と解決できそうです。本当に自分が必要として受け取る準備が出来ていることはちゃんと与えられるのですねえ。神さま、ありがとう!の気持ちです。

今日学んで感じたことはユングは100年時代を先取りしていた、ということ。早すぎたのですね、彼が行ったことは。だから周囲から理解を受けず、Mad Manとして扱われ、その先入観は未だにこのアメリカ東海岸にはびこっていますから。でも、この赤の書を詳しく紐解くことが出来たら、彼は超先取りだっただけだ、と皆が気づくのではないでしょうかね。ん~、興味深深のこの講義、これからが楽しみです!

先生から『赤の書』のテキストを全文読めるサイトを教わりました。残念ながら絵はついていないのですけれど。英語ですが、ご興味のある方は是非行かれてみると面白いと思います。Introductionだけでも大変勉強になりますよ!



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by sakurasikibu | 2010-02-24 22:07 | つれづれ