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Kalimbaな夜

今日もブログにお越しくださって本当にありがとうございます。

こんばんは。

先週こちらでお話したカリンバが手元に来ました。
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昨晩、本当はヨガのクラスを取る予定にしていましたが、とある事情で急遽キャンセル。しかしこの晩はジョージからカリンバを受け取ることになっていたので、取り合えず連絡を取ることに。

ジョージは家からワンブロック先のベンチに居ました。通りで抽象画のペイントをしています。私のカリンバは彼の家にまだあったらしく、今から取りに行くから、彼のペイントを見張っているように、と。それから、ペイントを少し手伝ってくれ、と指示を出されて待っている間、彼のペイントに手を加えていました。

すぐ近所に住んでいるのかと思ったら、なんと彼は地下鉄に乗って取りに行き、小一時間私は新聞を読みながら時間を潰してジョージを待っていました。

笑顔で登場したジョージ。鳥が7羽空を飛んでいる絵の付いたカリンバを持ってきてくれました。何だか縁起が良さそうな代物です。本当は受け取ったらすぐに家に戻って、こまごまとしたことをしようと思っていたのだけれど、気の良いジョージにちょっと弾いていかないか、と言われ、そうすることに。このジョージという人は何か特別な魔法のような魅力のあるおじさんでこちらのガードをはずしてくれる。いつもはシャイな私もなぜだか通りのベンチで初めての楽器のカリンバを恥ずかしげもなく弾き始める。でも、私のカリンバはジョージのカリンバとは違う音がする。ジョージのはハ長調な音がしたのに、私のはト短調で何だかメランコリックだ。欲しい、と思っていたのとは違う音がする。そう思って弾いていると、このジョージはそんな私を見越したかのように、どうやって調音するのか教えてくれた。素手ではできないので、調音は家ですることに。

私がポロポロと弾いている間、ジョージはペイントを続けていた。先週、類まれなストーリーテラーの才能を披露してくれたジョージの描く抽象画はこれまた面白い。いろんな想像を掻き立てられる絵だ。蛇のようにも見えるサクソフォーンのようなオブジェが絵の中心にある。色合いは孔雀の羽を思わせるようだ。全体の色調は金使いのクリムトみたい。絵を上下左右変えて置いて見ると、また全然違うイメージが見えてくる。音符のように見えていた丸の一群は今度はシャンデリアのようにも見える。天使みたいに見えるイメージもあった。出来上がりをぜひ見てみたいものだ。

私は自分のカリンバのト短調の音が居心地が悪くて、ジョージのカリンバを弾き始める。今度は気分良く楽しく弾ける。ジョージ曰く、彼のカリンバも最初から良い音がしていたわけじゃないんだと。何でもBreak Downしなくちゃ駄目なんだよと。私が調子付いて弾いていると、ジョージも気分が乗ってきたらしく、彼は私のカリンバを持って弾き始める。二つのカリンバは絶妙なハーモニーを奏で始める。

ジョージは途中で、足でリズムを取りながら弾くことや、ベースになるリズムを持って弾くこと、そしてソフトに弾くとまったく違う味がでること、などを教えながら私に合わせてカリンバを弾いていた。段々と美しい音色が続いていく。通りすがりの人たちが立ち止まって聞いてくれたり、カリンバのことを聞いたり、にわかに色んなご近所さんと知り合いになった。なんたって、ジョージはこの近所では有名な人らしく、道行く人の多くが「やぁ、ジョージ!」と声を掛けていくのだよ。私は8年もここに住んでいるのに、先週まで彼の存在を知らなかった。世の中って面白いものだ。

「もうじきCDを出すから、買ってね!」と行きかう通行人に調子良く話しているジョージ。こんなに人懐こい人も余りいないんじゃないかなあ、と思う。「お友達が沢山いるのね」と言うと、「いや、友達じゃないよ。ただ挨拶をする顔見知りさ。本当の友達は少ないもんだよ」と。人懐こくても、本当に信頼できる人ってのはやっぱりそう多くないのだね。

カリンバの音色の魅力と、ジョージのエンジェリックな不思議な魅力と、半月の月明かりの魔法のせいか、私は時間を忘れてカリンバの演奏に夢中になっていた。気が付くと夕暮れ前の空が真っ暗になっていて・・・。一時間半以上もジョージとカリンバを弾いていたことになる。こんなSponteneous(自然発生的な)なことをすることは私の人生にそうそうない。このジョージというおじさんは不思議な人だ。その話をあとでオーリーに伝えると彼女も同感していた。彼女は初めてジョージに会った日、5時間続けて話をしたそうだ。

Sponteneousでいることは好きなことだけれど、日常ではどうも自分にブレーキをかけがち。ジョージのような存在がいてくれると難なくできてしまうから不思議だ。カリンバを弾きながらも考えすぎないように、と注意されていた私・・・。

実はちょっとへこむことがあって、心の中はそれで一杯だったのだ。それもこのジョージはお見通しかのようにさらりと質問してくる。普段はこういう質問には答えない私もなぜだか馬鹿正直に答える。それでまず気が楽になった。そうして一時間半以上も自由奔放にキレイな音色を奏でていたら、私のココロは偉く軽くなっていたのだ。いろんな不思議の重なった夜だったなあ、と・・・。

今日は有給を貰っていたので、早速カリンバの調音をした。今度は自分の好きな音がする。嬉しくて、ずっと弾いていると普段聞かない高音の音が煩わしくなったのか、ジンジャーが暴れ始めたので弾くのを止めた。当分はこの楽器に夢中でいそうだ・・・。猫達にも慣れてもらわないとね・・・。




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by sakurasikibu | 2010-08-18 20:25 | つれづれ