スタテンアイランドへ行ったのは10日ほど前なので、少し時差のあるレポートですが、お付き合いくださいませ。
スタテンアイランドはフェリーに乗るか、とても長いベラザノナローブリッジ(あのNYマラソンで毎回最初に渡るあの橋ですよ)を車で渡るしかないし、知り合いでも住んでいない限りは同じNYCでも滅多に足を運ぶことはないんですねえ。
でも今回行ったときは大好きな画家の藤田理麻さんがThe Jacques Marchais Museum of Tibetan Artでご自身の創られた絵本の朗読をなさるというので楽しみに行って来たんですね。
当日は朗読会に参加している日本人が少数だったので、チベット語と英語での朗読になりました。
朗読された本は2冊。いずれも理麻さんが物語も絵もご自分で創られた『ワンダートーク』と『ワンダーガーデン』。
『ワンダートーク』はチベットに先祖から語り継がれているチベット民話をもとに理麻さんが創られました。チベットを離れて、インドの難民キャンプで過ごすチベットの子どもたちに祖国のことを偲んでもらえるように、という願いが込められているそうです。この本は国連の推薦図書にも選ばれています。『ワンダーガーデン』はダライ・ラマの個人的なエピソードをもとに創られた本です。
どちらの本も日本語、チベット語、そして英語で書かれてあるので沢山の人に読んでいただけますよね。この朗読会のときはチベット語はチベットのお坊様、英語は理麻さんの旦那様が読まれました。朗読会ではチベットの子供達とアメリカ人の子供達が仲良く最前列で身を乗り出して、お話を夢中になって聞いていました。朗読が終わった後にも子供達は沢山の質問をしていました。一冊の本が3ヶ国語で書かれているというのは本当に素晴らしいなあ、と思います。より多くの方が同じものを読むことが出来、その感動を共有できるのですからね。
理麻さんの絵本は絵が美しいのはもちろんのこと、そのお話に彼女のチベットに対する篤い思いが伺え、本当に熟慮の末に出来上がった作品なんだなあ、と思います。こどもにも分かる平たい表現で書かれているけれど、その実、とても深いものがあって、読み手を感動させてくれるんですね。
理麻さんの絵本を読んだ子どもも大人も、読後には優しい気持ちになっていると思うのです。その優しい気持ちをより多くの人に向けられるようになるとどんなに良いでしょうか。文化、宗教、イデオロギーなどの違いがあっても、肌の色が違っても、私たちはみんな同じ人間なんだと理解していきたいですね。上も下もなく、人間が同じ人間に非情で残酷な扱いをすることがこの世から消えることを、本当に心から願います。理麻さんがなさっている絵や物語を媒体とした平和活動は本当に素晴らしいと思います。理麻さんの創られたこの絵本の収益金は全て彼女が作られた慈善団体、ブックス フォー チルドレンを通して、チベット難民の子供達のほかにも発展途上国の恵まれない子供達の為に寄付されるそうです。
あなたの手にする本が間接的に、助けを必要とする子供達の為になっているって素敵なことですよね。
写真提供:ゆるLOHAさん
理麻さんの旦那様はまるで声優さんかと間違えるほど、とっても朗読がお上手で聴いているこちらがビックリしたほどでした。
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# by sakurasikibu | 2009-10-13 21:00 | つれづれ