人間の強さ

今日もブログにお越しくださってありがとうございます。

最近入院してきた患者さん二人にとても感心した。二人とも、人間はそんなに弱くないんだよ、っていうメッセージを送ってくれるから。

二人とも鬱を患っていて、自殺願望があってやってきた。

一人はまだ23歳のジャマイカ出身の背が高くて綺麗な女の子。
14歳のときからルーパス(狼瘡病、ろうそうびょう、慢性自己免疫疾患)を発病していて、それに伴い体中のあちこちに問題がある。もちろん腎臓も弱っていて週に3回人工透析を受けている。腎臓移植も考えたけれど、長い間ルーパスを患っているので彼女の心臓はその手術に耐えられるほどの強さを持っていないと診断され、数人のお医者さんに手術を断られていた。大学も通いとおすことが出来なくて、ずっと自宅にいる彼女。人生の先に希望が持てなくなって、自殺未遂を起こしてやってきた。

もう一人は35歳のプエルトリコ系の男性。ドラッグ中毒の父親を持ち、彼の様にはなりたくない、と思ってずっと頑張ってきたという。MBAを持っているが彼のコミュニティでは高校を終えない人も少なくないし、ましてやMBAとなると相当な努力をしてきた人だろうと思う。家も持っているし、いわゆる世の中で大人が達成するであろうことはちゃんとこなしてきたようだ。(アメリカでは出身のコミュニティーによって進学や就職などが他のコミュニティーと比べて数倍難しいことがある。以前にエントリーしたコーチカーターの世界を思い浮かべていただけると分かりやすいと思う。)
4年前に一人娘を心臓病で失う。教会で行われた子供をなくした人のサポートグループなどに参加して、娘の死を夫婦で何とか乗り越えてきた。親友だったというその奥さんが今年の2月に自分の目の前で車に引かれて即死されたそうだ。「さようなら」を言うことも出来なかった彼。奥さんが亡くなって以来、自分がその事故を防ぐためにできたことがあったのではないかと自責の念に駆られ眠れない日々が始まる。そのうち、オンラインで手に入る様々な睡眠薬を取り始め、今では毎日かなり危険な量を取っている彼。ドラッグ中毒の父親のようになりたくない、と思っていたのに結局同じようになっている、と自分でも言っている。仕事も二つ掛け持ちでし、膨らむ薬代に充てると共に、少しでも考える時間を減らしたかったようだ。でも、身体も心もボロボロになってきて、自分で助けを求めにやってきた。

二人とも切羽詰ったときは「もう生きているのが嫌だ!」と思ったようだ。二人ともこの入院以前にセラピーを受けていたことがなかった。でもね、少し落ち着くと自分が持っている強さに目覚めていく。自分を支えてくれる家族や友人の愛情にも気がついて、人生は生き続けるに値するものなんだ、という気になっていく。二人とも明るい表情を短期間のうちに見せてくれる。絶望的だと思っていた自分の人生に明るい光を見出していく。自分にはまだまだ沢山の可能性があると気が付いて、希望を持ち出した。強いなあ、ってじ~んとする。人間って自分で気付いているより本当はもっとずっと強いと思う。

健康や家族って当たり前な存在になってしまうけれど、それに恵まれていることに感謝を忘れていてはいけないよね。そしてどんな状況に面しても私たちにはちゃんと乗り越えてゆける強さがあるし、必要なときは助けを求めたら良い。助けが必要な自分を認めることは、それは立派な強さだもの。そして支えてくれる人たちの愛情を受け止められる素直さ、謙虚さもその局面を乗り越えるのにとても大切なこと。

そんな風に思っていたところに超人気ブロガーのerizoさんが家族をなくされた親娘さんのことでエントリーされていた。erizoさんご自身もお母さまの看病で、いろいろな思いをされているようだ。

人生は何が起こるか予測も付かない。私の同僚は「人生はギャンブルよ。結婚も子供もね。どうなるかは分からないんだから」と良く言う。自分の身に降りかかることは予測できないことかもしれない。でも、絶対に自分には乗りこえらると理解して、事実を事実として受け止め、淡々と目の前のことをこなしていくといつの間にか乗り越えているんではないだろうか。こういうときに被害者意識を持ってしまうと、ぬかるみで騒ぐと更に深みにはまっていくようなことになるんだろうね。以前にtamakoさんからこんなコメントを頂いた。「おぼれたときってじたばたしても体力消耗させて疲れちゃうだけで、波に身をゆだねていたらそのうちどこかに着くかもしれない・・・」  どんな状況に入ってもどこかでその状況を傍観できると上手くその状況に対応できるようになるのでしょうね。そうなるには、自分にはその状況を乗り越えてゆく十分な強さがあり、絶対に大丈夫、と信じることが大切なんじゃないのかな。

erizoさんが素敵なメッセージを送っている。

わたしは既に多くのものを持っています。
父や母が与えてくれたもので。
あるいは経験から得たもので。
あるいは友だちや周りのひとたちがくれる思いやりで。




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by sakurasikibu | 2009-06-02 19:42 | 仕事場で感じたこと