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慈しみのこころを伝える絵本

今日もブログにお越しくださってありがとうございます。

昨日のエントリーのつづき)

先週の日曜日、チベット難民孤児達の教育支援活動をされている画家、藤田理麻さんの講演が聴けるとあって、ハドソン川を越えてニュージャージーの三省堂まで行った。奈津子さんと彼女の元同僚Aちゃんも一緒に。藤田さんのことはNYに着たばかりのころ、日本の雑誌を通して知った。NYの美大出身だと雑誌で紹介されていたのででより印象的だった。彼女の幻想的な絵は見ているだけで独創的な物語の世界に引き込まれそうだ、と思った覚えがある。

画家の藤田さんのお話は聞いているこちら側の視覚を刺激するほどに鮮明で、伺っているとその場にいるような気分になった。インドにあるチベット難民の孤児院の子供達は物質的に恵まれている先進国の我々よりも、人と分け合う精神が強いと話してくださった。とても優しい子供達。そんな優しい子供達もチベットを離れインドに亡命するには険しいヒマラヤの道を幾日も歩かなければならない。山道を歩くのに適した靴がないのはもちろんのこと、靴下もないような状況で幼い子供達が命からがら亡命してゆく様を想像すると、胸が痛くなる。親からも離れ、途中雪道で倒れていく仲間を見送り、道中で過去に倒れて凍ってしまったままの死体を目にしながら、もし国境で警備隊に見つかってしまったら、殺されてしまうという恐怖を抱えながら、それでも何とかインドにたどり着けた子供達。孤児院にはごく基本的なものしか揃っていないけれど、こころの豊かさは失わないでいる子供達。その子供達の良い笑顔が藤田さんの設立されたブックス フォー チルドレン オン アースのサイトで伺える。講演会で見せていただいた絵もこころの豊かさを反映したもので、私は驚いた。

藤田さんはチベット民話やダライラマの個人的なエピソード、チベットの孤児達の間に増えている結核を予防するための絵本を作られている。インドにあるチベット難民の孤児院に絵本を寄付され、子供達を勇気付けられている。また、これらの絵本の収益は全てそうした孤児院に寄付されるそうだ。講演会の折にもそれらの本を手にすることが出来た。私が求めたのはダライラマの個人的な実話をもとにして作られた絵本、『ワンダーガーデン』。

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『ワンダーガーデン』

作者の藤田さんを思わせるような可愛い女の子が登場して、物語が始まる。ダライラマに救われたジャーマンシェパードの犬が、本来なら狩猟犬として獲物の対象になるであろう子ウサギを、襲うことなく優しく面倒をみてあげたというエピソード。救われた犬が自分の受け取った慈しみのこころを他に伝えたくなったからだろうと。藤田さんは絵本の中でそれを次のように書かれている。
 
思いやりの心 ― 。 
それには魔法のような力があって、
誰かに優しくされると、
心があたたかくなって、
今度は自分が他の人に
優しくしてあげたくなるのですね。


と。
平和を願う気持ちは伝播すると信じる私にはじ~んと来た。
みなにこの優しい気持ちが回りまわって伝わると良いなあ、と願う。
とても美しくて心が温まる素晴らしい絵本。チベットの子供達に何か出来たら、と思っていたけれどこんな素敵な絵本を手にすることで貢献することが出来た。

そして彼らとアートセラピーがしたい、と願っていた私にも何か糸口が見えてきたようだ。



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by sakurasikibu | 2009-06-11 21:29 | お薦めの本